時事IN マガジン#686
今月の少女ヒジンの根拠のある野望
キム・ユンハ(大衆音楽評論家)
肌に感じる風が少しずつ冷たくなった2016年10月のある日、都市は見知らぬ少女の顔で覆われた。
バス停に設置された大型広告板を埋め尽くすその新しい顔に関するヒントは、ポスターの右上端に書かれた「今月の少女」という言葉と筆記体で書かれた「ヒジン」、そしてSF映画で見るような曖昧な形の象形文字だけだった。
移動通信社やショッピングモール広告と勘違いした人も多かったこの一風変わったマーケティングは、実際は、ガールズグループ「今月の少女」のデビューに向けた事前プロモーションだった。
キャッチフレーズは「毎月私たちは1人の少女に出会う」。
ヒジンは、1ヶ月に1人ずつ新しいメンバーを公開して計12人で構成されたアイドルグループを最終的にデビューさせるという、Kpop史上初といってもよい長期プロジェクトの最初の切り札だった。
「今月の少女」となった人物は自分のキャラクターを盛り込んだポスターやソロ曲、そして象徴色と象徴動物など固有アイテムをいたるところに散りばめた深化学習型ミュージックビデオを通して、オールインワンパッケージ(色々なものが揃った状態)で大衆と会うことができた。
ヒジンのデビュー曲は、プロデュースチームモノツリーが作業した「ビビッド(VIVID)」だった。
2000年生まれで曲を発表した当時, 16歳だった彼女には少し重く感じられるジャージー(Jazzy)でビンテージなダンスポップだった。
音もミザンセーヌもじっと押し詰めた密度の高い曲と映像の中でのヒジンは、しかし凄く上手な表情と身振りで彼女が立っていた時空間を満たした。
一般的に短いたら一週、長くても一か月を越さない新人グループのプロモーションを思ったら最小一年という、無謀とも思えるこの巨大プロジェクトの先手となった彼女は自分の肩に掛かる責任の重さを知っているようにずっと強い目つきだった。
実際に2018年8月‘ルーナバース(LOONAbirth)’というタイトルのコンサートで正式デビューするまでにヒジンには2年の近い時間が必要だった。
昨日が違ってまた明日が違う10代の時のスプリングのようなエネルギーを思ったら少しくらい心が揺らいでもおかしくないが、 待ちに待ったデビュー舞台に立ったヒジンの目つきは‘ViViD’を発表した時と比べ 少しも変わらなかった。
むしろもっと強くなっていた。
ついに全メンバーが集まった完全体の最初のデビュー曲, ‘フェイバリット(favOriTe)’での彼女は画面を背にして歩いて後ろを振り向きながらカメラを向いて‘ハロー’と初挨拶をする。
余裕と自信が溢れるヒジンのお顔はこの後、今月の少女(LOONA)が発表した‘Butterfly’ ‘So What?’ ‘Why not?’などを通してグループのイメージとパフォーマンスを代表する瞬間として完全におさまった。
カメラと大衆の前で一度も揺られなかったその目つきを一番目の少女の根拠のある野望として呼んでもいいだろうか。
少女という枠の中に閉じ込められているには非常に大きいヒジンの野望は根拠がない一瞬の欲望じゃないからもっと頼もしい。
幼い印象と違って低くてハスキーなボイスで歌う強いラップと歌, 力と正確さが適切に調和したダンスを押し立てたヒジンの充実な能力値はチームのオリジナルの曲ももちろん, BTSの’Fire’, NCT127の‘Cherry Bomb’などのダンスカバー映像を通してもたっぷり感じられる。
彼女の目に幼い確信に満ちた野望がどうか長い間色褪せないように願う。
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